災害避難時は「歯磨き」が命を守る
今回は、災害時になぜ口腔ケアが重要になるのか、水があまり使えなくてもできる口腔ケア方法や口腔ケアグッズについて紹介します!
こんにちは!福岡県飯塚市鯰田にあるハート歯科クリニックいまい(予防歯科・矯正歯科・審美歯科・小児歯科・口腔外科・インプラント・マイオブレス小児矯正・ホワイトニング・インビザライン矯正)の歯科医師、福間裕仁です。
災害大国の日本では、どこに住んでいても、また誰でも、避難生活を余儀なくされる可能性があります。いざというときのために、非常持出袋の中に防災セットを用意している人も多いと思いますが、そこに歯ブラシなどは入っているでしょうか。避難中に口腔内の清潔を保つことは命を守ることにつながるので、最低でも家族の人数分の歯ブラシを防災セットの中に入れておきましょう。
避難中は、どうしても口腔内のケアがおろそかになりがちです。食べ物や飲み物、トイレといったことが優先されますし、ライフラインが止まり、水が不足すればまず飲み水のことを考えざるを得ません。
しかし、何日も商磨きをしないとむし歯菌や歯周病菌が大量に繁殖し、とくに高齢者は、寝ている間、横になっているとき、食後などにそれらが唾液などとともに気管に入り込み、誤嚥性肺炎を引き起こしてしまうことがあります。
平常時でも、何らかの事情で口腔内の清潔が保たれず、飲み込む力(嚥下機能)が低下していると誤嚥性肺炎になりやすいですが、避難中は、栄養不足や睡眠不足、ストレスによる免疫力の低下、食後すぐ横になる環境、持病の悪化などで誤嚥性肺炎のリスクが上がります。また、トイレの回数を減らそうと水分摂取を控えることやストレスによって唾液の分泌量が減ります。睡液は口腔内の細菌を洗い流す働きがあるので、分泌量が減れば、さらに危険は増します。
★口腔ケアグッズとケア方法
口腔ケアグッズとして防災セットの中に入れておきたいのは、歯ブラン、洗口液、ウエットティッシュ、ハンカチなどです。水が少ないときは、紙コップなどに30mlほど水を入れ、その水で歯ブラシを濡らして歯を磨き始めます。

歯ブラシが汚れてきたら、ウエットティッシュかティッシュペーパーで拭き取り、また歯を磨く〜これをこまめに繰り返し、最後に紙コップの水で2~3回に分けてすすぎます。

洗口液で行う場合は、まず洗口液で20秒ほどかけてすみずみまでロをすすぎ、それから歯を磨きます。水で口をすすぐ必要はありません。

歯ブラシもないという場合は、ウエットティッシュやハンカチを指に巻き、歯を1本1本丁寧にぬぐいましょう。これだけでも汚れを取る効果があります。
入れ歯は入れっぱなしにせず、やはり毎食後に汚れを拭うなどします。入れ歯洗浄剤を防災セットに用意しておくことも忘れずに。唾液の分泌を促す唾液腺マッサージを、食前や食後に行うこともおすすめします。
