CASE RECORDS

歯の豆知識

虫歯になると歯が痛くなるのはなぜ?


  • おとな向け

虫歯になると歯が痛くなるのはなぜか考えたことはあるでしょうか。今回は虫歯で歯が痛くなるメカニズムをわかりやすく解説します。

こんにちは!福岡県飯塚市鯰田にあるハート歯科クリニックいまい(予防歯科・矯正歯科・審美歯科・小児歯科・口腔外科・インプラント・マイオブレス小児矯正・ホワイトニング・インビザライン矯正)の歯科医師、福間裕仁です。

虫歯になると、ほかのことが手につかなくなるほど激しい痛みを感じることがあります。また、冷たいものを食べたときに「キン!」と染みるケースも。実際、歯の感覚はかなり敏感で、わずか0.2ミリの差を感じ取ることができます。歯に被せ物をつけたとき、噛み合わせのわずかな差も大きな違和感として感じるのは、この敏感さのためです。

歯は、一番外側に「エナメル質」があり、その奥に薄い「セメント質」に包まれた「象牙質」があります。そして一番内側には「歯髄」と呼ばれる歯の神経が通っており、この歯髄に刺激が加わると痛みを感じるのです。

軽度のむし歯では、歯の表側にある「エナメル質」だけが感染しているため、神経に刺激が届かず歯の痛みはありません。

これがもう少し進行して、「象牙質の虫歯」になると神経に刺激が届きやすくなり、痛みが生じます。

さらに虫歯が神経まで達すると激しい痛みを感じることになります。

★超敏感な歯髄の神経は2種類

歯の中心部「歯髄」の内部は、2種の神経細胞が張り巡らされています。そのほとんどがC繊維という無髄繊維(伝達速度が遅め)の極細の神経細胞で、歯髄のズキズキする痛みは、この繊維が感知しています。

もうひとつは、Aδ繊維という有髄繊維(跳躍伝導という跳び跳びに伝わるしくみを持つ)の神経細胞で、痛みや冷たさを感知。象牙質の「キン!」と染みる痛みはAδ繊維の反応です。

★三叉神経を通じて脳に伝わる

歯髄の神経は、歯槽骨内部の歯槽神経に繋がり、さらに脳幹からのびる三叉神経が枝分かれし、上顎神経や下顎神経として歯髄の神経まで繋がっています。0.2ミリの差を感じとる超敏感な歯の神経ですが、その一方で位置感覚が鈍いという不思議な特性もあります。例えば痛むのは一番奥の歯かその手前の歯なのか、よく分からないということが起こります。これは、歯槽神経が入り組んだ構造をしているために起こる現象と考えられます。

このように、虫歯が生じるメカニズムは、至ってシンプルです。

痛みが生じてから治療を受けるのは失う歯質の量も多くなってしまうので、可能であればそれ以前に歯科を受診するようにしましょう。

そのためには、定期検診を受けて虫歯の早期発見・早期治療に努めることが大切です。