妊娠中・授乳中の歯科麻酔やレントゲン、飲み薬って大丈夫?
お腹の赤ちゃんへの影響は?母乳に問題はない?歯科治療への疑問にお答えします。
福岡県筑豊地区飯塚市にあるハート歯科クリニックいまい『予防歯科・審美歯科・小児歯科・矯正歯科(マイオブレースシステム矯正,インビザラインシステム矯正)・インプラント・ホワイトニング』の歯科医師の仲宗根美由紀です。
「妊娠中だけど、麻酔して大丈夫?」
「歯科のレントゲンは、お腹の赤ちゃん(胎児)へ影響はないの?」
「授乳中だけど、飲み薬(痛み止め・抗生剤)は飲んでも大丈夫?」
今回は、そんな疑問や不安にお答えしていきます。
Q.妊娠中に歯科治療は受けて大丈夫?
A.基本的に問題ありません。
★妊娠初期(妊娠〜4ヵ月):
つわりや流産のリスクを考え、治療が延期できる場合には応急処置を行い、安定期に入って本格治療を行います。安定期に入るまでは、歯みがき指導や歯石除去を行い、お口の状態を整えます。
※炎症症状が強い場合や、むし歯の状態によっては、母体の状態をみながら歯科治療を行うこともあります。
★安定期(妊娠5〜7ヵ月):
通常の歯科治療が可能です。
むし歯治療、根っこの治療、簡単な外科処置などの治療を行います。
※炎症症状がなく、急ぐ必要のない外科処置は、出産後に行うことをおすすめします(例:インプラントや炎症症状のない親知らずの抜歯など。)
★妊娠後期(妊娠8〜10ヶ月):
お腹が大きくなり母体に負担がかかりやすい時期です。ユニット(診療イス)を起こしぎみにして、姿勢に配慮しながら治療を行います。
症状のある歯、歯茎を優先して治療・応急処置を行い、急ぐ必要のない治療は出産後に行います。
Q.妊娠中や授乳中に、歯科麻酔をしても大丈夫?
A.通常量1〜2本分であれば問題ありません。
一般的な歯科治療で使われる「局所麻酔薬」は、注射したその部分で分解されるため、母体や胎児には影響ありません。
麻酔をせず、むりに治療時の痛みを我慢してしまうと、逆に母体へストレスがかかってしまいます。
適切に局所麻酔を施してもらいましょう。
Q.妊娠中のレントゲンは撮っても大丈夫?
A.歯科での撮影は、性腺・子宮から離れており、胎児への放射線の影響はほとんどありません。
1枚撮影による被爆量は1日の自然からの被爆量の1/3以下と言われています。
さらに撮影の際は、必ず防護エプロンを使用します。防護エプロンの使用でX線を1/100程度の減弱させるため、被曝量は限りなくゼロに近くなります。
Q.妊娠中や授乳中に、お薬を飲んでも大丈夫?
A.妊娠中や授乳中に飲んでも、安全性の高いお薬を処方します。
★妊娠中、授乳中のお薬
抗生物質:フロモックスなどのセフェム系やペニシリン系
鎮痛剤:アセトアミノフェ ン( カロナール )
★母乳への影響
上記のお薬は、授乳中に服用しても乳児への影響はないとされています。
※それでも心配な方は、お薬を飲んでいる期間だけはミルクにするか、搾乳しておくのもひとつの方法です。
最後に
妊娠中は、つわりによって歯磨きが難しくなったり歯肉炎、むし歯になりやすい時期です。お口の中に炎症があると、低体重児出産のリスクが高まるとされています。
歯科検診・治療・クリーニングを受けて、出産までにお口の環境を整えましょう。出産後も赤ちゃんへのむし歯感染を防ぐためにも定期検診に通いましょう。