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歯の豆知識

乳児期の食べ方が将来のお口に影響する?!


  • 小児歯科

今回は、乳児期の授乳・離乳食の食べ方が、今後の健康や脳の発達、さまざまな能力と密接に関係していることについて説明していきます!

こんにちは!

福岡県飯塚市鯰田にあるハート歯科クリニックいまい(予防歯科・矯正歯科・審美歯科・小児歯科・口腔外科・インプラント・マイオブレス小児矯正・ホワイトニング・インビザライン矯正)の歯科医師の福間裕仁です!

★咀嚼力が全てを決める

人が健康に生きるために、最も大切な「食べる」ことを支えているのが、口で噛んで食べる力です。これを咀嚼力」といいます。

咀嚼力は生涯の健康や人格に大きく影響します。それは乳幼児期から始まります。

この時期に正しい噛み方を身につけた子どもは、その後の成長も順調です。虫歯がなく、きちんと噛んで食事をとっている子どもは、身体能力や学力などが向上すると言われています。

一方、歯並びが悪い子どもは病気になりやすいとも言われています。歯並びが悪く、正しい噛み方ができない子どもは、口元がしまらず、開いたままの「お口ポカン」状態が多く、虫歯や扁桃腺肥大、風邪などの感染症にかかりやすい傾向があります。

★乳児期の授乳、離乳食の与え方が子どもの発達に影響する

子どもの噛む能力(咀嚼力)は、赤ちゃんのときから3〜4歳になるまで時間をかけて学習し、トレーニングして育っていきます。皆さんの現在の食べ方は、実はこの時期に学習、トレーニングして身についたもので、生涯ほとんど変化しません。もし、この時期に間違った食べ方を学んでしまうと、生涯その食べ方が続いてしまいます。

赤ちゃんの歯が生え揃うのは生後8〜12ヶ月前後からです。それ以前は前歯が歯茎から顔を出していますが、歯で食べ物を噛むことはできません。しかし歯がない授乳期でも、赤ちゃんの噛む能力はしっかり培われているのです。

★無歯期(0歳〜1歳前後)が将来を決める

歯がないこの時期は、口唇や舌の使い方を鍛える時期です。口の機能は脳とダイレクトに繋がっていて、おっぱいやミルクを飲むことで、最も敏感な舌、口唇から脳に刺激が伝わり、脳の発達を促しています。

赤ちゃんは生まれてから4〜5ヶ月頃までは、本能的に備わっている吸啜反応という母乳を吸う能力があります。このとき、舌や下あご、口唇(特に上口唇)が上手に連携して動き、母乳を吸っています。舌はうねるような蠕動様運動をしています。

授乳期のポイントは「深飲み」です。おっぱいを深く咥えて、下あごと舌を十分に動かして、ゴクンゴクンと飲むのが深飲みです。それに対して、乳首だけを咥えて飲むのが「浅飲み」です。浅飲みでは、舌や顎が十分に動かないため、発達に影響が出ます。浅飲みの赤ちゃんの口蓋は、深飲みの赤ちゃんに比べると狭くなる傾向があります。口蓋がV字型になりやすく、将来の歯並びに影響するのです。

浅飲みを防ぐには、赤ちゃんをしっかり抱いて乳首を深く咥えさせることです。ミルクにする場合は、哺乳瓶の口の穴の大きをMサイズか、Sサイズを選んでください。

★離乳食の与え方

5、6ヶ月頃から、離乳食が始まります。前歯が生え始め、歯茎から顔を出します。まだ噛むことは出来ませんが、口唇で食べ物をとらえることが始まります。特に上口唇の使い方が大切です。

◎スプーンの使い方、気にしていますか?

赤ちゃんが食べやすいからと、離乳食をのせたスプーンを口の奥まで入れていないでしょうか。ところが、この使い方では、上口唇はあまり動きません。

動かすためには、まず、スプーンを口の下方から持っていき、下唇の上に置くことです。それを赤ちゃんが上唇でとらえたら、スプーンをゆっくりと引き抜きます。

★赤ちゃんの上口唇力を鍛える方法

唇の動きがうまくいかないと、口元のしまりがなくなる「お口ポカン」状態になりやすく、口呼吸に繋がりやすくなります。

唇を鍛えるためには、小さい頃に、なめたりかじったりを十分にさせることが必要です。物の大きさや硬さなどを唇、舌で確かめ、情報を脳に伝達し、脳が発達していきます。

この時期に舌と口唇をしっかり鍛えると、乳歯が生える次の段階にスムーズに移行できます。

★乳歯できちんと噛んで脳を鍛える

前歯8本が生える1歳前後から、乳歯20本が生えそろう3歳前後は、食べ方を身につける大切な時期です。同時に知能やコミュニケーション能力、意欲など、脳の高度な働きを司る前頭前野が急速に発達する時期でもあります。この時期に、正しい食べ方を身につけ、「咀嚼力」を鍛えることで、知能、心身を成長していきます。