矯正終了後の舌側固定について
最近は、保定装置と言ったらインビザライン矯正のような透明なマウスピースが多くなってきています
しかし、中には歯の裏から固定しておく【舌側固定】という保定装置もあります。
今回はそんな【舌側固定】について説明しますね!
こんにちは!福岡県飯塚市鯰田にあるハート歯科クリニックいまい(予防歯科・矯正歯科・審美歯科・小児歯科・口腔外科・インプラント・マイオブレス小児矯正・ホワイトニング・インビザライン矯正・マイクロ・ダイレクトボンディング)の歯科医師、柴田拓也です。
舌側固定について
〜目次〜
1. はじめに
2.舌側固定とは
3.適応と目的
4.固定方法
5.舌側固定のメリット
6.デメリットと合併症・注意点
7.術後管理とメンテナンス方法
8.まとめ
1. はじめに
歯科矯正治療後の保定は、治療で得た歯列の位置を長期的に維持するために不可欠です。
保定方法には着脱式のリテーナーと固定式のリテーナーがあります。
2. 舌側固定とは
舌側固定は、主に下顎前歯や上顎前歯の裏側(舌側)に金属ワイヤーや接着剤で固定するタイプのリテーナーです。
歯に直接接着されるため患者が取り外す必要がなく、長期間にわたり恒常的に歯列の位置を保つことが可能です。
3. 適応と目的
舌側固定の主な適応は以下の通りです。
•矯正治療後に前歯部の後戻りが起こりやすい症例
※特に前歯の叢生があった場合
•着脱式リテーナーの使用・管理が難しい場合(忘れやすい、紛失しやすい)
•長期的な保定が望まれるケース
目的は、治療で整えた前歯列の位置を恒常的に維持し、再治療や微調整を回避することです。
※ハート歯科では舌側固定を「する」「しない」はDRの判断によります
4. 固定方法
舌側固定は上下共に犬歯から犬歯の舌側面に接着剤で貼り付けます。
施術は無菌的な環境で行い、接着前に舌側面の清掃・乾燥を徹底します。
5. 舌側固定のメリット
•高い保定効果:常時歯列に力が働くため、安定した維持が期待できる。
•患者依存が少ない:着脱の手間や装着忘れがなく、遵守率の問題を解消できる。
•審美面で目立ちにくい:舌側に装着するため、見た目に影響しない。
•長期使用に適する:適切に管理すれば数年単位で機能する。
6. デメリットと合併症・注意点
•清掃困難:舌側に設置されるためプラークや歯石が付きやすく、虫歯や歯周病のリスクが増える可能性がある。
•接着の剥がれ(脱落):強い咬合力や硬い食べ物で接着部が外れることがある。
放置すると歯の移動を招くため早期受診が必要。
•違和感:舌の接触による違和感や発音の変化が一時的に起こる場合がある。
•修理・調整が必要:ワイヤーの変形や破断時には速やかに修理を行う必要がある。
•歯の移動を完全に防げない:稀に微小な移動が生じることがあるため定期観察が重要。
7. 術後管理とメンテナンス方法
•定期検診:半年〜1年ごとに接着状態や歯列の安定性をチェック。
早期に剥がれや変形を発見できる。
•口腔衛生指導:舌側清掃のためのフロスや うがい薬(コンクール)は補助的に有効。
•食事指導:硬い物・粘着物(キャラメル等)はなるべく避ける。
•脱落時の対応:部分的に脱落した場合は直ちに歯科を受診し、処置を受ける。
•舌側固定は「着けっぱなし」が基本であるので脱落時はすぐ連絡するようしましょう。
•毎日のブラッシングと補助清掃器具の使い虫歯予防を行いましょう。
•発音の変化や唾液分泌の増加が多くなる場合もあります。
8. まとめ
舌側固定は、矯正治療後の前歯部を長期にわたり安定させる有効な保定法です。
患者の自己管理能力が低い場合や、特に前歯の後戻りリスクが高い症例で推奨されることが多く、見た目にも配慮できるメリットがあります。
一方で舌側に装着されることによる清掃の難しさや接着脱落のリスク、違和感などのデメリットもあるため、術後の定期検診が必要不可欠になります。
推奨としては生涯の装着が望ましいのですが、上記にあるように脱落のリスクであったり、舌に当たる時の違和感、歯石や磨き残しが溜まりやすいと言うデメリットもあるため、
患者さんの希望で除去をする場合もございます。
除去した後に起こる、「後戻り」に関しては、当院での責任は負えません。
もし、気になる方がいらっしゃいましたら、当院に一度ご相談ください。